菊花図鐔 無銘 -Mumei- 12-1737
通常価格:¥77,000
税込
菊花図鐔
無銘
-Mumei-
縦81.9ミリ 横80.6ミリ 切羽台厚4.8ミリ 重量123.5グラム
江戸前期 The early Edo period
附属 桐箱
菊は長寿や高潔を象徴する吉祥文様として古くから尊ばれ、刀装具にもたびたび採用されてきました。本作は無銘のため流派を断定できませんが、装飾金具に頼らない鉄一色の表現、武張った量感、深く明快な彫り口には古格があり、江戸前期の制作と見るのが妥当でしょう。
本作は縦81.9ミリ、横80.6ミリの大振りな鉄地を一輪の菊花に見立て、切羽台の周囲から耳へ向かって数多くの花弁を放射状に刻み出した鐔です。花弁の一本一本に深い筋を通し、外周では先端を丸く区切ることで、満開の菊を正面から見た姿を端正に表しています。左右に設けられた小柄櫃孔と笄櫃孔も花弁の流れを妨げず、切羽台を花芯とするかのように図様の中へ巧みに収められています。
厚さ4.8ミリ、重量123.5グラムのしっかりとした造りで、放射状に連なる筋の高低が光を受けるたびに濃淡を変え、鉄一色でありながら豊かな立体感を見せます。丸みを帯びた花弁の先が連続する耳には柔らかな華やかさがあり、その一方で、深い黒褐色の鉄味と力強い量感が刀装具らしい落ち着きを保っています。80ミリを超える堂々とした姿は拵に据えた際にもよく映え、正面性のある意匠は鑑賞の場でも強い印象を残します。簡潔な構成の中に、鉄の質感、彫りのリズム、菊花の格調を存分に味わえる魅力的な一枚です。