孔明透鐔 無銘(長州) -Mumei(Choshu)- 12-1730
通常価格:¥297,000
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孔明透鐔
無銘(長州)
-Mumei(Choshu)-
縦75.6ミリ 横70.5ミリ 切羽台厚4.4ミリ 重さ105.4グラム
江戸後期 The late Edo period
附属 保存刀装具鑑定書、桐箱
諸葛亮孔明は中国三国時代の蜀漢に仕えた軍師で、卓越した知略と忠誠を備えた名臣として尊ばれ、羽扇を手に思索する姿は冷静な判断力や深い学識を象徴する画題として、絵画をはじめ刀装具にも数多く表されています。
長州鐔は周防国および長門国で発展した鐔工の一群によって製作され、良質な鉄地へ精巧な肉彫地透を施し、人物、山水、草木、故事などを絵画的に構成した作を得意としており、本作も日本美術刀剣保存協会の保存刀装具鑑定書によって長州と極められています。
本作は堅丸形の鉄地に羽扇を手に座す孔明を肉彫で表し、上方にたなびく雲、右方から大きく枝を巡らせる松、左下に葉を広げる棕櫚を地透として配するとともに、切羽台を挟んで上下へ柱を通し、下部左右に低い壁と方形の敷瓦を表すことで、館内に座す孔明とその周囲に広がる庭景を奥行き豊かに描き出しています。
孔明の顔や手には素銅の象嵌を用い、細く整えられた髭、穏やかな表情、羽扇を持つ手元まで丁寧に表す一方、衣装、柱、壁、雲などへ金色の象嵌を施し、床を形作る敷瓦の継ぎ目には点状の銀象嵌を配することで、黒褐色の鉄地の中に建物の構造と人物の姿を鮮明に浮かび上がらせています。
裏面は別の情景を表したものではなく、表に描かれた館と庭を反対側から眺めた構成となっており、上方を流れる雲、左方から右方へ大きく枝を巡らせる松、右側に葉を広げる棕櫚、下部の緩やかな丘が表面の景物と連続することで、鐔の表裏を巡りながら同じ空間を異なる方向から鑑賞できる立体的な画面を形作っています。
厚さ4.4ミリの鉄地には十分な量感があり、小肉を付けた角耳と大きな切羽台が全体を引き締め、精緻な肉彫地透と金、銀、素銅の象嵌を用いて一つの情景を表裏から描き分けるという巧みな構想に、長州鐔らしい絵画性と高度な彫技を味わえる一枚です。