五条大橋義経弁慶図鐔 藻柄子入道宗典製 -Sōheishi Nyūdō Munenori sei- 12-1726
通常価格:¥275,000
税込
五条大橋義経弁慶図鐔
藻柄子入道宗典製
-Sōheishi Nyūdō Munenori sei-
縦83.1ミリ 横79.3ミリ 切羽台厚4.8ミリ 重さ126.5グラム
江戸中期 The middle Edo period
附属 桐箱
藻柄子宗典(むねのり)は近江国彦根を代表する江戸中期の金工で、厚みのある鉄地へ人物や風景を濃密に高彫し、透彫と金銀素銅の色絵を組み合わせた華麗な作風で知られており、本作には「藻柄子入道宗典製」の銘がありますが、作者名による評価を加えず、江戸中期の彦根鐔として作品そのものを評価しています。
五条大橋で出会った牛若丸と武蔵坊弁慶の対決を題材とした鐔で、千本の太刀を奪おうと待ち構える弁慶に対し、身軽な牛若丸が橋の欄干を自在に飛び移って翻弄したという名高い場面を、鉄地の高彫と透彫によって表裏にわたり展開しています。
表には薙刀を構える弁慶を右下へ大きく配し、その頭上へ軽やかに身を翻す牛若丸を表しており、二人の視線と身体の向きを対角線上に結ぶことで対決の緊張感を生み出すとともに、橋の欄干、松、岩、渦巻く雲を巧みに透かし合わせ、限られた鐔面の中に奥行きのある夜の五条大橋を描写しています。
裏には橋の欄干と親柱、松や岩、空を覆う雲を配し、表から連続する情景として構成することで、鐔の表裏を一つの画面として楽しめる趣向が凝らされており、透かされた空間が橋上を吹き抜ける風や人物の素早い動きを想起させます。
牛若丸と弁慶の顔や手、武具の要所には銀や素銅の色絵を施し、衣装、甲冑、橋、松、岩、雲には金象嵌を細やかに配することで、黒褐色の鉄地に華やかな彩りと立体感を与えており、さらに耳全体へ細かな文様を施した金覆輪をめぐらせ、密度の高い人物表現を明るい輪郭で引き締めています。
縦83.1ミリの大振りな鐔面に義経と弁慶の物語、橋上の建築表現、自然景を余すところなく盛り込み、彫刻、透彫、色絵、金覆輪を一体としてまとめた、江戸中期の彦根彫り人物鐔らしい華麗さと劇的な構成を楽しめる一枚です。