蓮池飛雁図鐔 無銘 -Mumei- 12-1717
通常価格:¥44,000
税込
蓮池飛雁図鐔
無銘
-Mumei-
縦79.7ミリ 横76.3ミリ 切羽台厚4.4ミリ 重さ144.3グラム
江戸中期 The middle Edo period
附属 桐箱
本作は無銘のため作者や流派を特定するには至りませんが、厚みのある鉄地を用い、蓮葉に量感を持たせながら流水と雁を穏やかに配した作風には、江戸中期の鉄鐔らしい落ち着いた趣が表れています。
蓮は泥水の中から清らかな花を咲かせることから、清浄や再生を象徴する吉祥の植物として親しまれ、雁は季節の訪れを告げ、遠方から良い便りを運ぶ鳥として和歌や絵画、刀装具の題材に広く取り上げられてきました。水面に浮かぶ蓮と空を渡る雁を取り合わせることで、水辺に秋の気配が訪れる静かな情景を表しています。
表には鐔面下方を流れる水と二枚の蓮葉を彫り表し、その上空に二羽の雁を配しており、右下の蓮葉には金象嵌で葉脈を添え、雁の眼や水辺の細部にもわずかな金象嵌を用いることで、黒褐色の鉄地の中に控えめな光を与えています。裏には流水と二枚の蓮葉を右下へまとめ、左方に一羽の雁を飛ばすことで、表から続く蓮池の景色に静かな余韻を残しています。
大振りで厚みのある鉄地には素朴で力強い肌合いが広がり、量感を持たせた蓮葉と軽やかに飛翔する雁、緩やかな流水の線が調和し、広く残された余白と節度ある色金が季節の移ろいを情緒豊かに伝える一枚です。