武鑑透鐔 無銘(与四郎) -Mumei(Yoshiro)- 12-1713
通常価格:¥55,000
税込
武鑑透鐔
無銘(与四郎)
-Mumei(Yoshiro)-
縦58.5ミリ 横56.1ミリ 切羽台厚4.15ミリ 重量65グラム
桃山~江戸前期 The Momoyama to early Edo period
附属 桐箱
平安城象嵌は鉄地に真鍮を嵌め込んで文様を表す鐔の一群で、室町後期から桃山、江戸初期にかけて盛行し、唐草、草花、家紋などを真鍮平象嵌によって装飾することを特色としています。与四郎鐔はこの平安城象嵌の流れを受けて発展したものとされ、鉄地と真鍮の鮮明な色彩対比を生かした作品が数多く伝わっています。複数の家紋を丸内に透かして配する意匠は刀装具において武鑑透と呼ばれ、武家を象徴する紋章を装飾として取り入れた格調ある構成となっています。
本作は小振りな丸形の鉄地に二種の家紋を丸枠の中へ透かして配し、その紋と外周を真鍮で仕立てた武鑑透鐔です。上方には八方へ鋭く広がる星形を思わせる紋、下方には六弁の花形紋を置き、異なる二種の紋を縦に並べることで簡潔ながら変化のある構成を見せています。鉄地の大部分を無地のまま残し、二つの紋だけを鮮やかな真鍮色で浮かび上がらせているため、全面を唐草や草花で埋める平安城象嵌とは異なる、余白を生かした端正な趣があり、小柄櫃にも真鍮の縁取りを施すことで全体の調子を整えています。
地鉄には長い年月を経た黒褐色の古色があり、表面に細かな擦れや時代相応の荒れを残しながらも、真鍮の色合いとの対比によって落ち着いた中にも確かな存在感を見せています。耳には赤銅覆輪を巡らせ、黒味の強い鉄地、黄味を帯びた真鍮、深い色合いの赤銅という三種の金属を抑制の利いた配色でまとめており、華美に傾かず武家の装具らしい品格を感じさせる仕立ての作品です。