里景伏牛図鐔 無銘 -Mumei- 12-1711
通常価格:¥44,000
税込
里景伏牛図鐔
無銘
-Mumei-
縦80.6ミリ 横80.4ミリ 切羽台厚4.25ミリ 重量154グラム
江戸前期~中期 The early to middle Edo period
附属 桐箱
牛は古くから農耕や運搬を担い、人々の暮らしと深く結びついてきた動物であり、絵画や工芸においても身近な生活風景の一部として取り上げられてきました。刀装具においても牛を主題とした作品は見られ、人物故事と結びつけたものから、山野や人里の景観の中に牛を配したものまで様々な意匠が制作されています。
本作は丸形の鉄地に、家屋、樹木、草花と一頭の伏牛を散らし、静かな人里の景色を表した鐔です。表には三方に野草を配し、葉を伴わぬ樹木、その傍らには身体を地に伏せて休む牛を表しています。牛だけを大きく主題化せず、樹木や草花の間へ自然に溶け込ませることで、日常の一場面を切り取ったような穏やかな情趣を生み出し、裏には左方に樹木と家屋を配し、下方から右寄りにかけて草葉を散らすことで、表の景観が裏へと連続する構成となっており、ところどころに残る金色絵も黒褐色の鉄地の中で控えめなアクセントとなっています。
地鉄には長い年月を経た落ち着いた古色があって、両櫃を備え、小柄櫃孔は赤銅で丁寧に埋められており、実際に拵へ取り合わせながら長く使用されてきた履歴を感じさせる点も興味深いところです。華やかな色金や深い高彫で見せる作品とは異なり、古い鉄味と低く抑えた彫り、表裏に静かに展開する人里の景色を味わう一枚です。