山水風景図鐔 無銘(会津正阿弥) -Mumei (Aizu Shoami)- 12-1698
通常価格:¥198,000
税込
山水風景図鐔
無銘(会津正阿弥)
-Mumei (Aizu Shoami)-
縦83.5ミリ 横82.2ミリ 切羽台厚4.5ミリ 重量182グラム
江戸中期 The middle Edo period
附属 保存刀装具鑑定書、桐箱
正阿弥は室町時代から江戸時代にかけて各地で展開した刀装具金工の大きな系統で、鉄地を基調として透彫、高彫、象嵌、色絵など多様な技法を用いた作品を残しており、その地方流派の一つとして会津で栄えた会津正阿弥は、人物、動植物、山水などを絵画的に表し、金、銀、赤銅、素銅などの色金を要所へ配することで、重厚な地鉄の中に華やかな変化を生み出した作品で知られています。
本作は大振りの丸形鉄地を一幅の山水画に見立て、遠く連なる山々と水辺の景色を表裏に展開した鐔で、表の上方には山並みを配し、手前には水辺を横切る橋、その右方には枯枝へ一羽の鳥がとまる姿を鋤出高彫で表し、山頂や橋、水辺、鳥などの要所に残る金象嵌と色絵が黒褐色の鐔面に差し込む光のような効果を生み出すとともに、広く残された余白によって遠近感のある静かな景色を構成しています。裏には上方に遠く霞む山々を表し、下方には水辺へ張り出す岩と植物を配して、葉や枝の一部に色金を用いることで表裏に変化を持たせながら、一続きの広がりある山水景としてまとめています。
地鉄には長い年月を経た深みのある黒褐色の古色が現れ、槌目を残した豊かな肌合いと打返耳の柔らかな輪郭、低く抑えた彫りが落ち着いた趣を見せており、鉄地の中に繊細に配された金象嵌と色絵が山水画を思わせる幽玄な情趣を深めています。両櫃は赤銅で丁寧に埋められ、実際に拵へ取り合わせながら大切に伝世してきた履歴を感じさせる点も興味深く、縦83.5ミリ、重量182グラムという堂々とした量感を備えながら、遠山、橋、水辺、鳥、草木を破綻なくまとめた構成には会津正阿弥らしい絵画性が表れており、日本美術刀剣保存協会の保存刀装具鑑定書を伴う、重厚な鉄味と静謐な山水表現を存分に楽しめる一枚です。