双葉葵図透鐔 越前住記内作 -Echizen ju Kinai- 12-1695
通常価格:¥99,000
税込
双葉葵図透鐔
越前住記内作
-Echizen ju Kinai-
縦70.2ミリ 横67.1ミリ 切羽台厚5.3ミリ 重さ97グラム
江戸中期 The middle Edo period
附属 桐箱
越前記内は越前国福井を拠点として栄えた鐔工の一派で、鉄地を力強く彫り透かし、葵や銀杏、龍などを量感豊かに表した作品を得意としました。本作と同じ「越前住記内作」の銘を持つ双葉葵図透鐔が東京国立博物館にも収蔵されており、双葉葵は記内鐔を代表する画題の一つとして知られています。
本作は丸形の鉄地に葵を肉彫地透で表し、左右に両櫃穴を設けた鐔で、画面の上下に大きな葵の葉を配し、それぞれの葉から伸びる茎を曲線的に巡らせることによって、円形の空間を生かした伸びやかな構成にまとめています。葵の葉には筋の通った葉脈を細やかに刻み、葉と茎には金布目象嵌による装飾を施しており、黒褐色を呈する落ち着いた鉄地の中で金の線が鮮やかに映え、力強い透彫に華やかさと格調を添えています。表裏では葵の葉の向きや重なりに変化を持たせ、同じ画題を用いながら、それぞれに異なる景趣を楽しめる意匠としています。
切羽台には「越前住記内作」の銘が明瞭に刻され、丸く仕立てた耳には十分な厚みを持たせながら、葵の葉と茎の周囲を大胆に透かすことで、重厚さの中にも軽快さを感じさせる姿に仕上げています。地鉄には時代を経た自然な古色が現れ、金布目象嵌には部分的な薄れが認められるものの、文様は全体によく残され、葉脈の彫刻や茎の曲線にも記内鐔らしい力強い鏨の働きを味わえます。越前記内を象徴する葵の画題、深みのある鉄色に美しく映える金布目象嵌、表裏で変化を見せる巧みな構成を併せ持つ、鑑賞価値の高い一枚です。