岩間流水図鐔 無銘 -Mumei- 12-1689
通常価格:¥84,800
税込
岩間流水図鐔
無銘
-Mumei-
縦85.0ミリ 横79.4ミリ 切羽台厚3.7ミリ 重量156グラム
江戸中期 The middle period of Edo era
附属 桐箱
鉄地に自然の景を表した鐔で、岩、水流、葉といった限られた要素によって山間の水辺を構成しています。こうした自然景は江戸時代の刀装具に広く採られ、鉄地そのものの色調や肌を岩や大地の景観に見立て、彫りと金・赤銅などの色金を必要な部分だけに加えることで、限られた鐔面に奥行きと季節感を生み出しました。本作も装飾を全面に施すのではなく、広い鉄地を景色の一部として生かした構成となっています。
本作は縦85.0ミリ、重量156グラムという大振りで量感のある鉄地を用い、表の右側には岩肌を鋤き出すように彫り、その周辺に葉を金色絵を交えて配しています。岩の下方には細く屈曲しながら流れる線が認められ、岩間を伝う水流を表したものと見るのが自然でしょう。花は描かれず、葉と水、岩によって静かな水辺の景を表現しています。地鉄には細かな凹凸と古色が残り、精緻な彫刻そのものを見せる作品というより、鉄の荒れた肌を岩肌や自然の風合いへ取り込んだところに味わいがあります。
裏はさらに余白を大きく取り、下方に葉を金色絵と色金で表し、その傍らに露を思わせる小さな点を添えています。表の岩間を流れる水と、裏の葉に宿る露とを呼応させたようにも見え、表裏を通して「水」を意識した構成である点が興味深いところです。耳には穏やかな丸みが付き、長年の使用と経年によって落ち着いた黒褐色の鉄味を呈しています。