竹虎図鐔 無銘 -Mumei- 12-1686
通常価格:¥110,000
税込
竹虎図鐔
無銘
-Mumei-
縦72.7ミリ 横72ミリ 切羽台厚4.5ミリ 重量124グラム
江戸前期 The early period of Edo era
附属 桐箱
竹虎図は、竹林と虎を組み合わせた東アジアに古くから見られる画題で、日本でも絵画や工芸意匠として広く用いられました。虎は日本に生息しない動物であったため、その姿は中国からもたらされた絵画や文物などを通して受容され、日本の絵師や工人によって独自の姿へと展開し、竹と虎の組み合わせは武具の意匠にも取り入れられ、刀装具にもさまざまな作例が残されています。
本作は丸形の鉄地に竹と虎を彫り表した鐔で、表には上方から伸びる竹と鋭く開く竹葉を片切彫で刻し、その下に身を低く構える虎を同じく片切彫を主体として描いています。虎は輪郭を細かく整えるのではなく、短く力強い鏨線を重ねて頭部、縞、脚、尾を表現しており、素朴ながら勢いのある彫口が印象的です。竹葉も一刀一刀の鋭い鏨筋によって構成され、虎の細かな線と竹の大きな線とを対照させています。裏面は意匠を竹のみに絞り、余白を広く残した簡潔な構成です。
また、耳には赤銅の覆輪を廻らせています。黒味を帯びた鉄地にさらに赤銅の黒色が重なるため一見すると目立ちませんが、鉄地そのものの耳とは異なる端正な縁取りとなっており、本作の見逃せない特徴でしょう。茎穴の上下には銅の責金が残り、両櫃穴を備えることからも、実際に拵へ仕込まれて使用されてきたことがうかがえます。
全体に華美な象嵌や色絵を用いず、鉄地と鏨線だけで竹虎の景を構成した渋い一枚で、古調を帯びた鉄味、力のある片切彫、丁寧な赤銅覆輪など、玄人好みの古雅な作品です。