古木に蔦図鐔 正阿弥吉次 -Shoami Yoshitsugu- 12-1673
通常価格:¥170,500
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古木に蔦図鐔
正阿弥吉次
-Shoami Yoshitsugu-
縦76.0ミリ 横69.9ミリ 切羽台厚4.9ミリ 重量114グラム
江戸後期 The latter period of Edo era
附属 保存刀装具鑑定書、桐箱
吉次は通称を治右衛門といい、岩代国会津若松に住した会津正阿弥派の刀装金工です。会津正阿弥は江戸時代の会津において展開した正阿弥系の一派で、鉄地を主体とする鐔をはじめ各種の刀装具を制作しており、本作もまた鉄そのものの質感と立体的な彫技を生かした会津正阿弥らしい趣を備えた作品です。
本作は鉄地の鐔全体を一片の古木そのものに見立てた大胆かつ洒脱な構成で、通常の鐔のように整然と耳を仕立てるのではなく、長い歳月を経て荒れた樹皮の裂けや瘤、朽ち込んだ木肌を思わせる複雑な起伏を丸彫によって鐔面から耳際まで連続させ、左右に穿たれた大小の透孔さえ古木に生じた洞や朽ち穴のように造形の一部へ取り込んでいます。
黒褐色に深く枯れ込んだ鉄地の随所には金布目象嵌を控えめに散らし、古木を這う蔦や表面に生じた苔がわずかな光を受けて輝くかのような景色を生み出しており、金を華美な装飾として用いるのではなく老木に残る生命の気配として効かせた表現が巧妙で、荒々しく変化に富んだ鉄肌と繊細な金色との対照は見る角度によってさまざまな表情を現します。
さらに笄櫃穴は四分一で丁寧に埋められ、その落ち着いた灰色も古色を帯びた鉄地によく馴染み、縦76ミリ、厚さ4.9ミリ、重量114グラムという充実した量感と相まって、単に古木を鐔面へ描いたのではなく、鐔そのものを一片の古木へと変貌させたところに吉次の発想と造形力が存分に表れています。
朽ちた古木という侘びた題材を鉄の地肌と大胆な立体造形によって表し、そこへわずかな金を配することで蔦や苔の生命感を添えた構成には独特の風趣があり、華麗な色金金工とはまた異なる鉄鐔ならではの景色を手元でじっくりと味わえる、会津正阿弥吉次の個性がよく表れた作品です。