勝虫図笄 無銘(京金具師) -Mumei(Kyo Kinko)- 16-196
通常価格:¥198,000
税込
勝虫図笄
無銘(京金具師)
-Mumei(Kyo Kinko)-
全長212ミリ 幅12.4ミリ 重さ34g
江戸中期 Middle Edo period
附属 保存刀装具鑑定書、桐箱
京金具師は、江戸時代に京都を中心として刀装具の制作に携わった金工師を指す呼称で、特定の一流派のみを意味するものではありません。京都では古くから金工技術が発達し、江戸時代には赤銅や素銅などを用いた小柄、笄、縁頭、目貫などが盛んに制作され、精緻な彫刻と金銀の色絵を組み合わせた装飾性豊かな作品が生み出されました。
本作は赤銅地を用いた笄で、細かな魚子を打ち、その上に一匹の勝虫を大きく高彫に表しています。翅から胴にかけて惜しみなく金色絵を施す一方、脚は細い線状に表しており、量感豊かな翅と繊細な脚との対比が印象的です。魚子地を囲む輪郭にも丁寧な仕事が見られ、黒く深みのある赤銅地を背景として金色の勝虫が鮮明に浮かび上がっています。
勝虫とは蜻蛉の異称で、前へ進み退かないとされたことから武家に好まれた意匠として知られ、刀装具にも繰り返し取り上げられました。
本作では笄という細長い画面に対して勝虫を大胆な大きさで据え、さらに一方の翅を画面の外へ伸ばすように構成することで、限られた空間に動きと広がりを与えています。
赤銅の黒味もよく保たれ、金色絵との対照は鮮やかで、勝虫の翅には細かな毛彫を加えて質感まで表現しています。無銘ながら保存刀装具鑑定書では「京金具師」と極められており、京金工らしい端正な仕立てと華やかな色彩感覚を楽しめる、鑑賞性の高い一作です。