山村風景図鐔 無銘 -Mumei- 12-1658
通常価格:¥60,500
税込
山村風景図鐔
無銘
-Mumei-
縦81.9ミリ 横80.3ミリ 切羽台厚4.8ミリ 重量162.5グラム
江戸後期 Late Edo period
附属 桐箱
山村の風景を題材とした図様は、山岳、樹木、家屋などを組み合わせ、限られた画面の中に奥行きのある景観を構成したもので、刀装具にもさまざまな表現で取り入れられ、異なる金属による象嵌や地鉄そのものの起伏を利用することで、遠景と近景、山肌や樹木などを描き分ける作品も見られます。
本作は鉄地の丸形鐔いっぱいに山村の景観を表した一枚で、遠景の山々を赤銅象嵌、その間にたなびく霞を細い金象嵌によって表し、下方には樹木と家屋を赤銅象嵌を主体として配しながら銀象嵌を交えています。
とりわけ興味深いのは地鉄そのものを景色として積極的に利用している点で、平坦な鉄地へ単に図柄を象嵌するのではなく、地を部分的に起伏させ、左右には荒々しい岩肌を思わせる凹凸を作り出しています。
遠景の山を比較的明瞭な赤銅で置き、それに対して近景を鉄地の量感ある凹凸で表現することで画面に遠近感を生み出しており、左右の岩肌の表現は特に見応えがあります。81.9ミリという大振りの寸法に162.5グラムの重量を備え、素朴な山村風景でありながら、鉄、赤銅、金、銀という異なる素材を巧みに使い分けた味わい深い作です。