舟上釣魚図鐔 無銘 -Mumei- 12-1653
通常価格:¥55,000
税込
舟上釣魚図鐔
無銘
-Mumei-
縦74.0ミリ 横71.8ミリ 切羽台厚4.3ミリ 重量111.5グラム
江戸時代後期 Late Edo period
附属 桐箱
水辺や渓谷に釣人を配した図は、自然の中に身を置く人物を題材とする東洋絵画の伝統とも結びつき、刀装具にも取り上げられてきました。鉄地に金銀などの色金をわずかに配して景色を構成する表現には古くから作例があり、東京国立博物館所蔵の金家「漁舟図鐔」にも、鉄地に金銀象嵌を施して山深い渓谷を表した例が知られています。
本作は鉄地丸形、地を段階的に彫り下げることで岩壁の重なりと奥行きを表し、画面下方には舟上から釣糸を垂れる人物を配しています。釣人の笠には赤銅、細く伸びる釣竿には銀を用い、右方の柳樹には赤銅象嵌、その葉には金象嵌を施し、さらに笹を赤銅と金で表現。左方には銀象嵌の雁金を飛ばし、裏面では遠景の松樹と水面を金・赤銅によって簡潔に描いています。
表裏で同じ景色を反復するのではなく、表では岩場と釣人を中心とした近景、裏では水辺の遠景へと視点を移した構成が面白く、限られた鐔面の中に一幅の山水画を見るような広がりを感じさせ、笄櫃穴には赤銅を嵌め、笄が鐔の鉄地に擦れて傷つくのを防ぐ造り込みになっています。