鍛肌無地鐔 江府住並壽 -Kōfu-jū Naruhisa- 12-1639
通常価格:¥66,000
税込
鍛肌無地鐔
江府住並壽
-Kōfu-jū Naruhisa-
縦82.0ミリ 横78.5ミリ 切羽台厚5.65ミリ 重量183グラム
江戸後期 Late Edo period
附属 桐箱
江府住並壽は、江戸時代後期に江戸で活動した鐔工です。詳細な経歴や系譜は明らかではありませんが、江戸鐔工を紹介する資料には江府住辰寿、並寿、満喜らの名が記されており、並壽も江戸で鉄鐔を制作した刀装具師の一人であったことが確認できます。また、えさし郷土文化館には「銘 江府住並壽」の作品が所蔵されており、その存在を今日に伝えています。なお、本作では従来の呼称に従い「なるひさ」と読んでいますが、この読みを明確に裏付ける一次資料は現時点で確認できず、確実な読みについては今後の研究が待たれるところです。
本作は装飾を施さず、鍛え上げた鉄そのものを鑑賞の対象とした作で、板面には折り返し鍛錬によって生じた木目状の鍛肌が全面に鮮明に現れています。片櫃は赤銅によって丁寧に埋められ、実用に応じた改変が施されています。また、手貫緒を通すための二つの穴が穿たれており、武用鐔として実際に使用されたことを物語っています。経年による擦れ傷や錆落ちが認められるものの、地鉄は健全で、むしろ鍛肌の力強い景色を際立たせています。華美な彫刻や象嵌に頼ることなく、鍛え抜かれた鉄味そのもので見せる作域は実に潔く、実用品としての機能美と素材の美しさを兼ね備えた、江戸後期鉄鐔の魅力を存分に味わうことのできる佳作です。