王子晋乗鶴図鐔 無銘 -Mumei- 12-1634
通常価格:¥66,000
税込
王子晋乗鶴図鐔
無銘
-Mumei-
縦84.0ミリ 横79.8ミリ 切羽台厚3.9ミリ 重量149グラム
江戸後期 Late Edo period
附属 桐箱
王子晋(おうししん、王子喬)は中国古代の伝説上の人物で、周の霊王の太子と伝えられます。道術を修めたのち白鶴に乗って仙界へ昇ったという故事は『列仙伝』などに記され、日本でも室町時代以降、絵画、蒔絵、刀装具など幅広い工芸意匠として親しまれました。長寿や立身出世、俗世を超越した境地を象徴する吉祥の画題として武家社会にも広く受け入れられ、江戸時代を通じて数多くの刀装具に表されています。
本作は落ち着いた鉄味を見せる竪丸形鉄地を用い、表には白鶴に乗って天空へ昇る王子晋を高肉彫で力強く表し、人物には赤銅象嵌、鶴の脚には素銅象嵌、眼には金象嵌を施すことで、わずかな色彩の対比のみで画面に生命感を与えています。裏面には金象嵌による草とたなびく雲を配し、その間から赤銅象嵌を交えた山容をのぞかせ、表裏を通じて一幅の仙境を構成する意匠となっています。肉彫は過度な誇張を避け、静謐な趣を重視した表現に終始しており、穏やかな鉄味と相まって格調高い作域を示しています。象嵌の一部には時代相応の摩耗や脱落が認められるものの、鑑賞上大きな支障はなく、全体の品位を損なうものではありません。こうした鉄地を主体とする落ち着いた作風や、人物・山水を組み合わせた絵画的構成には会津正阿弥を思わせる趣が認められます。