武具和歌図蒔絵刀掛 無銘 -Mumei- 11-041
通常価格:¥605,000
税込
武具和歌図蒔絵刀掛
無銘
-Mumei-
江戸中期末~後期 Late 18th to Late Edo period
附属 外箱
刀掛の大きさ … 縦40センチ、横48.5センチ、奥行18センチ、刀掛部の内側幅34.1センチ
外箱の大きさ … 縦43.25センチ、縦51センチ、奥行横21センチ
刀掛は、刀剣を室内に安置し鑑賞するための武家調度であり、実用品であると同時に家格や教養を表す調度品として発達し、江戸時代には黒漆塗に蒔絵を施した優品も数多く制作され、武具や吉祥文様、和歌などを題材とした意匠は、武士の精神性や文化的素養を象徴するものとして好まれました。
本作は加賀前田百万石で知られる石川県金沢の旧家より買い付けた三本掛の刀掛です。黒漆塗の木地を基調とし、金梨子地で縁取りを施した格調高い造りで、表面には兜、弓矢、太刀、巻物、短冊など武家文化を象徴する意匠を巧みに配しています。
短冊には江戸中期を代表する国学者、本居宣長(もとおり のりなが、1730~1801)の歌「敷島の 大和心を 人問はば 朝日に匂ふ 山桜花」が表され、さらに「忠勇」「大和魂」といった武士道を象徴する文字が蒔絵されています。
裏面には流水と菊花を描き、この取り合わせは武家社会において忠臣の象徴として尊ばれた楠木正成を想起させる意匠としても鑑賞することができ、武芸のみならず和歌や国学への関心を備え、忠節と大和心を重んじた武家の精神文化を巧みに表現した構成となっています。
蒔絵の作風、木地の造り、金梨子地による縁取り、さらに刀掛に合わせて誂えられた外箱の構造や経年状態を総合すると、本作は江戸中期末から後期に製作されたものと判断するのが最も妥当かと考えられます。本居宣長が江戸中期から後期初頭にかけて活躍した人物であることも年代観とよく符合しています。漆面は深い艶を保ち、蒔絵の保存状態も極めて良好で、外箱には蔵番札とみられる「昭九拾貮 蒔絵刀掛」の札が残されています。大型三本掛ならではの堂々とした姿を備え、武家調度としての格調と優れた漆芸技術を今日まで伝える、保存状態の良い優品です。