矢に馬具図鐔 -Mumei- 12-1536
通常価格:¥88,000
税込
矢に馬具図鐔
-Mumei-
縦81.5ミリ 横76.8ミリ 切羽台厚2.8ミリ 重量116.0グラム
江戸前期 Early Edo period
附属 桐箱
江戸時代前期には、武家社会の安定とともに武具そのものを主題とした刀装具が数多く制作されました。本作は弓馬の道を象徴する矢、鞍、鞭のみを簡潔に配した意匠であり、人物や馬を描くことなく武士の精神性を表現しています。
こうした簡潔な構図は、肥後金工や京正阿弥系の作品にも共通する美意識であり、余白を生かした落ち着いた品格が感じられます。
鉄地はやや薄手ながら鍛えの良い板鉄を用い、自然な槌目や鍛え肌をそのまま生かしています。輪郭は木瓜形に柔らかく整えられ、素朴な鉄味と調和しており、表には鞍と鞭を赤銅象嵌と金象嵌を交えて表現し、斜めに配した矢が画面全体を引き締め、裏面には一本の矢のみをあしらい、表裏で意匠を呼応させる構成は実に洗練されています。金象嵌は控えめながら効果的に用いられ、武具の存在感を品良く際立たせ、鉄味は穏やかながら自然な古色を備え、象嵌の残存状態も良好で、派手さよりも簡潔な構図と武家らしい品格を楽しめる一作であり、拵に組み込んでも鑑賞用としても魅力ある作品です。