糸巻透大小鐔 馬面序政(花押) -Bamen Tsunemasa- 12-1500
通常価格:¥396,000
税込
糸巻透大小鐔
馬面序政(花押)
-Bamen Tsunemasa-
(大)縦77.8ミリ 横74.4ミリ 切羽台厚5.37ミリ 重さ118.5グラム
(小)縦73.5ミリ 横70.35ミリ 切羽台厚5.3ミリ 重さ93.5グラム
江戸後期 The latter period of Edo era
附属 保存刀装具鑑定書、桐箱
馬面氏の起源は戦国時代の越前国に遡るとされ、甲冑製作に携わった一族のうち、特に馬甲の顔面防御具である馬面の製作を得意とした馬面師の家系であったと伝えられています。馬面という特異な名字は領主である本多家より賜ったものとされ、後に刀装金工としても名を残しました。序政は菊池序克の門人として知られ、その作には馬をはじめとする動物や吉祥意匠を透彫で表したものが多く見られます。
本作は鉄地丸形の大小鐔で、糸巻を意匠化した透かしを大胆かつ端正に配した作です。外周に連続する透かしによって糸巻の姿を抽象的に表現しており、簡潔な構成でありながら均整の取れた造形によって洗練された美しさを生み出しています。地鉄はよく鍛えられて鉄味に優れ、落ち着いた古色と相まって重厚な存在感を漂わせており、装飾を抑えた作域の中にも確かな品格が感じられます。
大鐔の両櫃穴には赤銅埋が施され、黒味を帯びた鉄地との対比が美しく、実用上の工夫でありながら意匠的な見所ともなっています。耳は丸耳に仕立てられ、透かしの輪郭も整然としており、無駄を削ぎ落とした意匠の中に作者の確かな技量が窺えます。さらに大小とも寸法や透かしの配置に至るまで巧みに呼応しており、一作の大小鐔として製作されたことが窺える完成度の高い組物となっています。
糸巻は糸を絶やすことなく巻き続けることから家運長久や繁栄を象徴する吉祥意匠として古くから親しまれてきました。本作はそうした縁起の良い題材を、優れた鉄味と均整の取れた透かしによって上質な刀装具へと昇華したものであり、馬面序政の特色をよく示すとともに、一作の大小鐔ならではの統一感と格調を備えた見応えある優品です。