蟷螂図鐔 無銘 -Mumei- 12-1496
通常価格:¥88,000
税込
蟷螂図鐔
無銘
-Mumei-
縦69.1ミリ 横66.2ミリ 切羽台厚4.35ミリ 重さ117.9グラム
江戸後期 The latter period of Edo era
附属 桐箱
しっとりとした赤銅磨地を用いた円形の鐔で、画面中央には一匹の蟷螂が力強く表されています。丁寧に磨き上げられた地面は深みのある黒味を帯び、その静かな景色の中に金色の蟷螂が鮮やかに浮かび上がることで、簡潔ながら印象深い画面を構成しています。
蟷螂は高肉彫りで仕立てられ、鎌状の前脚や細身の肢体に至るまで巧みに表現されており、銀象嵌による触角が繊細な生命感を添えています。余白を広く取った構図は主題を際立たせるとともに赤銅地そのものの美しさを引き立てており、限られた要素のみで緊張感のある景色を作り上げた意匠感覚にも見所があります。
磨地故に表面には細かな擦れ傷が認められるものの、鑑賞上大きく損なうものではなく、むしろ長年伝来した刀装具ならではの古色として自然な趣を与えています。蟷螂は古くから「蟷螂の斧」の故事によって武勇や不屈の精神の象徴として知られ、武家社会においても好まれた題材の一つでありました。
深みのある赤銅磨地、金色に映える蟷螂、そして銀象嵌による繊細な表現が見事に調和した一作で、簡潔な構成の中に江戸後期金工らしい洗練された美意識を感じ取ることのできる作品です。