一ノ谷合戦図鐔 無銘 -Mumei- 12-1493
通常価格:¥297,000
税込
一ノ谷合戦図鐔
無銘
-Mumei-
縦81.1ミリ 横75.6ミリ 切羽台厚4.4ミリ 重さ125.3グラム
江戸中期 The middle period of Edo era
附属 桐箱
鉄地に金覆輪を施した大型の鐔で、源平合戦の名場面として知られる一ノ谷合戦を題材とした作です。重厚な鉄地に華やかな金覆輪を巡らせることで格調高い姿にまとめられており、武家が好んだ歴史画題の世界を力強く表現しています。
合戦の情景が巧みに配され、表の右下には源氏方の武将である熊谷次郎直実、下中央には平家の若武者として名高い平敦盛が表されています。両者は『平家物語』に語られる悲劇的な逸話によって広く知られ、武勇と無常を象徴する人物として古くから刀装具の画題にも取り上げられてきました。本作もまた、その物語性豊かな場面を鐔上に凝縮したものです。
よく鍛えられた地鉄には細部に渡って物語絵巻を見るかのような趣向が凝らされ、限られた画面の中に戦場の緊張感と人物の存在感が巧みに表現されています。
耳に巡らされた金覆輪は単なる装飾に留まらず、画面全体を引き締める役割を果たしており、鉄地の渋い風合いとの対比によって意匠を一層際立たせています。実用刀装具としての堅牢さと鑑賞品としての華やかさを兼ね備えた点も見所です。
源平盛衰の歴史を象徴する一ノ谷合戦を題材とし、力強い鉄味と格調高い金覆輪によってまとめられた本作は、武家文化への憧憬と歴史への敬意を今に伝える優品であり、物語性豊かな画題を味わうことのできる見応えある一枚です。