大江山図鐔 江州彦根住藻柄子入道宗典製 -Goshu Hikone ju Soheishi Nyudo Soten- 12-1490
通常価格:¥330,000
税込
大江山図鐔
江州彦根住藻柄子入道宗典製
-Goshu Hikone ju Soheishi Nyudo Soten-
縦84.8ミリ 横81.4ミリ 切羽台厚5.0ミリ 重さ138.5グラム
江戸中期 The middle period of Edo era
附属 桐箱
本鐔の画題である大江山の酒呑童子退治の伝説は、源頼光とその四天王、そして藤原保昌らが、都から次々と若い女性を拐う鬼の討伐へと向かう壮大な英雄譚です。
物語の大きな転換点であり、古くから絵巻物や浮世絵などの美術工芸品でも好んで描かれる名場面が、山伏に変装した頼光一行が大江山の奥深くで出会う「川辺の姫君」の場面であり、険しい山中を潜入する一行の前に現れたのは、鬼の城から流れる川のほとりで、血の付いた着物を洗いながら涙を流す、さらわれた都の貴族の姫君でした。
彼女は頼光たちに対し、捕らえられた女性たちが鬼の酒宴で生血を絞られ、肉を食われるという城内の凄惨極まる恐怖の状況を伝えて助けを求め、一行を鬼の城へと導く重要な道案内を果たします。
その後、鬼の城の酒宴で怯えながら給仕をさせられる姫君たちの痛ましい姿を目の当たりにした頼光らは、激しい怒りを胸に機を伺い、見事に酒呑童子の首をはねて鬼一味を壊滅させます。力強い武勇だけでなく、恐怖の地獄から都の姫君たちを救い出すという劇的な救出劇としての側面が、この伝説を不朽の名作たらしめています。
この鐔は、上述の酒呑童子退治を画題とした作品で、表裏の両面にわたり、切り立った険しい霊山や湧き立つ瑞雲を背景に、頭巾(ときん)を被り、錫杖を手にして山伏の姿に変装した源頼光らの一行と、大江山に捕らわれ、川辺で涙を流しながら着物を洗う都の姫君の姿が、極めて立体的な肉彫りで表現されています。衣服の篠懸(すずかけ)の細やかな文様や姫君の優美な衣装、登場人物たちの表情、山肌の意匠に至るまで、驚くほどの細やかさで彫り込まれており、細密彫刻の技が遺憾なく発揮されています。
黒々とした鉄地に美しく映える金・銀・銅の象嵌も実に見事であり、さらに耳には布目象嵌の手法を用い、全体を黄金色に仕立て、全体の気品を格段に引き締めています。
保存状態も頗る良く、鑑賞用としても極めて満足度の高い優品です。