靭猿図頭金具 無銘 -Mumei- 15-196
通常価格:¥66,000
税込
靭猿図頭金具
無銘
-Mumei-
縦32.2ミリ 横16.3ミリ 重さ15.5グラム
江戸後期 The latter period of Edo era
附属 桐箱
赤銅魚子地に高肉彫、色絵を施し、狂言『靭猿』の一場面を題材とした頭金具です。
緻密な赤銅魚子地を背景に、靭を抱えた猿曳きの姿を高肉彫で力強く表しています。猿曳きの表情はどこか憂いを帯び、衣文の皺や手足の表現にも細やかな鏨遣いが見られます。衣の紐や靭の一部には金色絵を加え、落ち着いた色調の中に効果的なアクセントを添えています。
靭猿は狂言の代表的な演目として知られます。主人から靭に用いるため猿の皮を差し出すよう命じられた猿曳きが、我が子同然に育てた猿との別れを嘆き悲しみ、その情愛に心を動かされた主人が最終的に猿を助命するという物語です。
本作は猿が描かれていたであろう縁金具が欠損しているため、猿そのものは表されていないものの、主人公である猿曳きを取り上げることで、靭猿の世界観を象徴的に表現しています。
人物の表情や衣文の彫刻は丁寧で、赤銅魚子地の上質な仕立ても相まって、小品ながら物語性に富んだ味わい深い作品となっています。