山水風景図鐔 長州萩住幸良作 -Choshu Hagi ju Yukiyoshi- 12-1450
通常価格:¥110,000
税込
縦74.3ミリ 横72.75ミリ 切羽台厚5.0ミリ 重さ128.5グラム
江戸後期 The latter period of Edo era
附属 日本刀装具研究会鑑定書、桐箱
長州藩は、他藩へ輸出して藩の財源とするために、積極的に鐔造りを奨励し、 その結果、長州は、東の会津に対して西の長州と言われるほど、鐔工とその作品の数が多いところとなりました。 長州鐔の作風は一概に言えないほど多岐に渡っており、特徴的な作風を有する流派はあまりありません。河治・中井・岡本・岡田・金子・中原・藤井・井上・八道といった各家が比較的著名です。
吉山氏、通称半兵衛による作。鞘師を兼ね、彫金も手がけた人物として知られ、本作にもその多才さがうかがえます。題材は中国画風の山水風景図で、鉄地を用い、静謐で詩情豊かな世界を描き出しています。
表面には、遠方に連なる山並みを背景に、右側には険しい崖と、その上に根を張る老松を配し、さらに右下には寺院と思しき建物を描いています。画面全体には細かな線彫りが施され、それによって穏やかな大海が表現され、海上には帆掛け船が静かに進む様子が見られます。
裏面には、形状に変化を持たせた奇岩と広がる大海を背景に、三隻の帆掛け船が配され、表裏を通して雄大で悠然とした情景が展開されています。線の積み重ねによる描写は、観るほどに奥行きと余韻を感じさせ、僅か数ミリに過ぎない鐔の厚みの中に、遠景から近景までを破綻なく収め、確かな奥行きと空間性を成立させている点は特筆すべきでしょう。
実用金具でありながら、絵画的構成と静かな叙情を備えた一枚で、拵に知的で落ち着いた趣を添える鐔として、鑑賞にも適した作品と申せましょう。