横山上野大掾藤原祐定 -Yokoyama Kozuke daijo Fujiwara Sukesada- 2-1865
通常価格:¥1,320,000
税込
刃長67.2センチ 反り2.3センチ
元幅29.8ミリ 元重ね6.1ミリ
物打幅21.5ミリ 物打重ね4.6ミリ
横手位置幅18.6ミリ 松葉先重ね4.6ミリ
裸身重量535グラム 拵に納めて鞘を払った重量849グラム
江戸前期 The latter period of Edo era
昭和55年11月20日 兵庫県登録
附属 保存刀装具鑑定書、素銅地銀着はばき、黒石目塗鞘藩太刀拵
腰元より上から反り始めた古雅な太刀姿で、踏ん張りが強く、優雅な均整の取れた体配です。地鉄は全体に油染みが現れているため判然としにくいものの、杢目肌がよく錬れて詰んでおり、刃文は匂口明るい互ノ目を焼き、左右に開いた互ノ目を二組並べるように規則正しく焼き上げています。匂口はよく締まり、端正で落ち着いた印象を与えます。鋩子は直ぐに先大きく丸く返り、全体の作風とよく調和しています。
附属の拵は、一般的によく見かける半太刀拵ではなく、足金物と太鼓革が添えられ、実際に太刀として佩くことができる本式の仕様です。
金具類は赤銅地に筋を立て、丁寧に魚子を打った手の込んだ作域で、細部にまで高い工作水準が感じられます。 鐔は凹凸をつけた鉄地で、小柄笄櫃穴の左右には手貫緒の穴が穿たれています。意匠としては、小さな輪違い紋が金象嵌により控えめに配され、主張を抑えた無骨ながらも上品な表現です。耳には赤銅の覆輪がかけられ、全体を引き締めています。
鐔鳴りおよび柄のがたつきは見られるものの、保存状態は非常に良好です。特に注目したいのが、太鼓革に添えられた太鼓金の意匠です。裏面には揚羽蝶を彫り、全体を菊花文様に透かした和風意匠が施されています。一方、表面には唐草文様の中に、アルファベットの M および J と読み取ることのできる西洋風意匠が配されています。
キリスト教、とりわけカトリックにおいて、M は主としてマリア(Mary / Maria)を、J はイエス(Jesus)を象徴する文字であることから、本刀はキリシタン武士の佩刀であった可能性も想起されます。
さらに極めて興味深い点として、太刀として用いるための足金物が表裏逆に取り付けられていることが挙げられます。この仕様からすれば、左腰ではなく右腰に佩用することとなり、当時としては非常に稀な左利きの士が所持していた可能性も考えられます。
こうした点を踏まえると、本拵は士文化の側面から見ても、またキリシタン文化の資料として見ても、極めて高い史料的価値を備えた存在といえるでしょう。
なお、本刀は兵庫県下より出ましたうぶ品で、当店が2018年に入手したものです。拵については当店にて鑑定書を付しており、その来歴と価値は一定の評価を得ています。
刀身につきましては、いずれ研磨を施したうえで掲載する予定でしたが、あえて手を加えず、現状の姿のままご紹介する判断に至りました。そのため、刀身は現在未審査の状態です。現状を正確にご理解いただいたうえで、今後の研磨や審査を見据えてお楽しみいただければ幸いです。