無銘(久保田宗明)- Mumei(Kubota Muneaki)- 6-097
通常価格:¥330,000
税込
刃長37.4センチ 反り2.6センチ
元幅26.0ミリ 元重ね7.2センチ
物打幅32.8ミリ 物打重ね7.0ミリ
松葉先重ね6.3ミリ 茎の長さ64.0センチ
裸身重量1,118グラム。
江戸末期文久頃(1861~) The last years of Edo era
昭和45年11月14日 鹿児島県登録
附属 素銅はばき、黒蝋塗違い一重亀甲紋蒔絵鞘
俗名、文吉。一関藩田村家の藩士として生まれ、嘉永年間、藩命により江戸へ上り、名匠・桑名藩の固山宗次の門を叩きました。匠の最奥義を求め鍛刀に励む中、安政三年(1856)にはついに免許皆伝を授かり、「宗」の一字を与えられて宗明と号すようになりました。
帰藩後は一関藩から特に遇され、宗明鍛刀の所持奨励まで行われ、その切れ味の鋭さは折紙付きで、戊辰戦争では数多の藩士が宗明の刀を携えて戦地へ向かったと伝わります。「一関士宗明」「陸中一関住久保田宗明」などと銘切ります。
作風は、師が得意とした備前伝の互の目乱刃などを焼き、匂に沸を強調した作風で、特に切れ味に意を注いだと云われます。
この薙刀は疵欠点が無く、柾目鍛えの地鉄がよく錬れて詰み、地沸ついて精美。刃文は匂口明るく冴えた匂本位の互ノ目丁字乱れで、大きく硬く焼き出し、中間部は尖りごころの刃を交え、匂口平地に向かって煙り込んで沸映りや湯走の如き働きを成し、先は匂口一段と締り、足交え、覇気あって見事。鋩子は表裏乱れ込んで刃中に蛇ノ目の如き刃を交えて短く返っています。
薄らとした時代錆こそ見受けられますものの、地刃の働きは明瞭に鑑賞でき、美術観賞用として十分以上の魅力を備えております。むしろ、眠れる美をそのまま湛えた風情は、うぶ出し品ならではの趣と申せましょう。
地鉄の風雅な肌合い、刃中に息づく働きはいずれも健全で、薙刀としての品格と気配を存分に漂わせております。ゆえにこそ、本作の本来の輝きをさらに引き出すため、腕の立つ研師による佳き研磨をぜひご検討いただきたい逸品です。研ぎ上がった際には、地刃がいっそう冴え渡り、宗明作の真価を余すところなく味わっていただけることでしょう。