無銘(畠田光守)(備前国吉岡一文字助光)- Mumei (Hatakeda Mitsumori)(Bizen no kuni Ichimonji Sukemitsu) - 2-1860
通常価格:¥1,210,000
税込
刃長66.2センチ 反り1.5センチ
元幅26.1ミリ 元重ね6.1ミリ
物打幅20.9ミリ 物打重ね4.6ミリ
横手位置幅17.5ミリ 松葉先重ね4.5ミリ
裸身重量527グラム 拵に納めて鞘を払った重量793グラム
鎌倉後期 The latter period of Kamakura era
平成7年11月21日 東京都登録
附属 日本刀剣保存会鑑定書、倉敷刀剣美術館鑑定書、素銅はばき、黒蝋塗鞘打刀拵、白鞘、継木
日本刀剣保存会では吉岡一文字助光。倉敷刀剣美術館では畠田光守で極められた一刀です。
吉岡一文字派は吉井川左岸の赤磐郡吉岡(現在の岡山県久米郡)で槌を振るった刀工一派で、助吉を祖とし、一族は刀工名の頭に「助」の字を冠しており、助光は開祖である助吉の孫、または曽孫と伝えられる同派を代表する名工です。
助光の作風としては、匂出来(においでき:匂が刃文全体を 覆うような様)で焼き幅の広い丁子乱や大丁子乱の刃を焼き、地鉄は細かい杢目肌に地沸が付き、乱映りが立ちます。
「一 備前国吉岡住左近将監紀助光」等と長銘を切り、紀姓で左近将監の官名を名乗ったことが知られており、代表作には国宝指定の元応二年紀の薙刀と元亨二年紀の太刀があります。
畠田派は鎌倉時代の備前国(岡山県東南部)の一派で、その作風は丁子刃の華やかな刃文を得意とし、同国で栄えた長船派や一文字派の刀工と類似します。 光守は同派の刀工で、現存する有銘作は非常に少なく、代表作としては重要美術品に指定されている堀田家伝来の太刀と、同じく重要美術品に指定されている秋元家伝来の折返銘の小太刀がよく知られており、これらは共に焼幅の広い匂出来の丁子乱れを焼いて華麗な作風を示しています。
本刀は大きく磨り上げられているものの、なお踏ん張りを失わず、細身ながらも優雅な姿態を確かに留めています。長い時代を経ながら、なお骨格の確かさを感じさせる点は特筆に値します。
地鉄は小板目に杢目を交え、よく練れて品位高く、刃文はふわりと柔らかな味わいを湛えた丁字乱れを基調に、互ノ目や小丁字を交え、小足入り、金筋かかり、まさに千変万化の景色を見せます。鋩子は表にやや乱れごころを見せ、裏は直ぐに先丸く返り、実戦を潜り抜けてきた古刀らしい風格が感じられます。
棟には大小合わせて八箇所の切込傷が認められ、歴史を物語る生々しい痕跡として、本刀の存在感を一層際立たせています。
附属の拵は、近年の数寄者によって新調されたもので、金具はいずれも時代物を用いて誂えられた上質な拵です。実際に鞘を払って構えてみると、手元重心で非常にバランスが良く、驚くほど軽く感じられるのも魅力の一つ。柄にガタツキは無く、締まりは良好です。
無銘物の極めは研磨によって大きく左右される傾向がありますので、上研磨を施し、日本美術刀剣保存協会による審査の結果に期待したい一刀。 来歴を物語る切込と、優美な出来を併せ持つ、古刀の醍醐味を存分に味わえる作品です。