無銘- Mumei- 6-086
通常価格:¥143,000
税込
刃長18.85センチ 反り0.9センチ
元幅15.8ミリ 元重ね4.6ミリ
物打幅18.6ミリ 物打重ね3.7ミリ
松葉位置重ね3.65ミリ
裸身重量95グラム。 拵に納めて鞘を払った重量158グラム。
江戸中期~後期 The middle ~ latter period of Edo era
平成30年9月15日 京都府登録
附属 朱塗柄稚児薙刀拵、素銅はばき
江戸の泰平が育んだ豊かな節句文化。その中でも、大名家や裕福な豪商の家においては、幼子の成長を願い、実際に身につけることのできる精巧な甲冑飾りや雛道具が誂えられました。本物の太刀を幼児用に縮小したもの、わずか数寸の人形用太刀であっても真剣を収めたものなど、そのこだわりは贅と美意識を極めたものばかりです。
本作、雛薙刀(稚児薙刀)もまさにその一つ。節句飾り全体が現存していない今となっては想像するほかありませんが、大名家または豪商の雛段飾りを彩った、上級の雛道具の一具であったことは疑いようがありません。小振りながらも本格的な造り込みは、その由緒と格式を雄弁に物語っています。
地鉄は小板目肌がよく練れて詰み、地鉄には優美な映りが立ち、匂口明るく冴えた直刃を焼き上げた、正真正銘の「本歌」の出来映え。小道具的な飾り物ではなく、一振の薙刀としての技量がしっかりと注がれています。
現在附属の柄には口金・胴金・鏑巻き・石突金具が備わっておらず、後世に白鞘柄を塗って代用したものと推察されます。本来は立派な薙刀拵が添えられていたのでしょう。柄の逸散は惜しいものの、このような真正の雛薙刀が市場に姿を見せること自体、極めて稀。江戸時代の節句風俗を知る上でも、比類なき資料価値を有する逸品です。
御入手の折には、ぜひ観賞用の上研磨を施し、格式に相応しい薙刀柄の復元製作をご検討ください。幼子の健やかな成長を願って誂えられたこの稀有なる文化財を、どうか次代へと受け継いでいただきたく存じます。