無銘- Mumei- 6-083
通常価格:¥330,000
税込
刃長53.85センチ 茎の長さ48.6センチ
元幅30.5ミリ 元重ね10.8ミリ
物打幅27.6ミリ 物打重ね7.1ミリ
螻蛄首六角形
裸身重量755グラム。
室町後期~江戸初期 The latter period of Muromachi ~ The early years of Edo era
昭和53年2月16日 福岡県登録
附属 なし
室町後期から江戸初期にかけて鍛えられた、大身槍の中でも一際個性を放つ逸品です。
表は一見すると平三角造で、槍としては定型の姿を保っておりますが、裏を見ると一転、元の方が両鎬造で途中から平三角造へ移行するという変わり形。加えて平の部分には丸留の樋を掻き、ただの大身槍に留まらない、技巧と意匠の妙が光る一筋です。
地鉄は小板目に杢が交じった肌がよく練れ、強く柾に流れて映り気を帯び、古作槍ならではの風趣を存分に湛えています。刃文は匂口明るく判然とした直刃調湾れを見せ、先端部では互ノ目が勢いよく焼き上がり、槍としての力強さと美観を併せ持つ出来映えです。
槍は写真撮影が難しく、刃文の魅力が画像で十分に伝わらないことが多いのですが、本作は変わり形の構造美のみならず、地刃の出来から判断しても、上研磨を施す価値が十分にあると断言できる質の高い一筋です。
なお、地鉄に鍛錬疵は見られませんが、裏のケラ首にごく小さな鍛え疵がございます。鑑賞の妨げとなるものではなく、時代槍としてはむしろ自然な風情といえましょう。 意匠の独自性、地刃の質、時代の味わい──そのすべてが揃った大身槍。研磨を経て一層の美観を引き出せば、末永く伝えるに相応しい名品となることでしょう。