松樹砧図小柄 小川芳恒(花押) -Ogawa Yoshitsune(Kao)- 16-157
松樹砧図小柄
小川芳恒(花押) -Ogawa Yoshitsune(Kao)-
全長92.4ミリ 幅14.7ミリ 重さ27.8グラム
江戸末期 The last years of Edo era
附属 保存刀装具鑑定書、桐箱
日本美術刀剣保存協会による鑑定書が付属する、幕末期の土佐金工、小川芳恒の確かな技量と教養が光る極めて情緒豊かな小柄です。
芳恒は本名を興市といい、江戸へ出て園部芳継の門人となり腕を磨き、土佐国高知にて活躍した名工です。
意匠には、画面いっぱいに力強く枝を張る松樹と、その根本にひっそりと置かれた砧が描き出されています。秋の夜の静寂に響く砧の音は、人を待つ哀愁や郷愁を誘うものとして古来より和歌に詠まれており、剛健な松の姿と取り合わせることで、武骨な鉄地の中にえも言われぬ深い詩情を生み出しています。
ざらりとした鉄石目地を背景に、松葉や砧に施された金銀の象嵌が美しい輝きを放ち、静謐な夜の情景を見事に浮かび上がらせています。
経年により鉄板の浮きが僅かに見受けられますが、それもまた永い時代を経た武具ならではの味わい深い景色となっており、精緻な彫りの美観を損なうものではありません。確かな素性と深い精神性を備えた優品です。