靭猿図小柄 無銘 -Mumei- 16-061
通常価格:¥55,000
税込
全長96.1ミリ 幅14.4ミリ 重さ35.8グラム
江戸 The Edo era
附属 桐箱
上質な赤銅を素地とし、その全面に極めて細密な魚子を打ち施した趣の深い作品です。
意匠は狂言の演目としても名高い『靭猿』を題材としたものと見受けられ、靭を抱えた武士とおぼしき人物と、猿廻しの姿が描き出されています。
『靭猿』とは、靭の毛皮にするために猿を所望した大名(武士)が、無邪気な猿の愛らしさに心を打たれて命を助けるという、大変人情味があり微笑ましい物語です。
武士の威厳と猿の無邪気さが交差する人情味あふれる情景が、金工の確かな鏨運びによって小画面の中に豊かに表現されています。
本作は長年の実用を経ており、表面には手擦れによる穏やかな摩耗が生じ、裏面の金着せにも傷みが見受けられます。しかしながら、その深い枯れ具合と精緻な仕事ぶりから、制作年代は江戸時代中期を下らないものと推測されます。幾多の武士の手に渡り愛用されてきた歴史の息吹を感じさせる、時代武具の優品です。