紫糸威大鎧- Murasakiitoodoshi oyoroi - 7-089
通常価格:¥5,500,000
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本品は、戦前に製作された鎌倉後期大鎧の精巧な複製です。小札を一枚一枚丁寧に綴じ、漆で固めて仕上げた本格的な作りは、古式の大鎧の意匠と構造を忠実に再現しています。大鎧は平安~鎌倉時代に、剛の武士を強靭な矢や刀剣から守るために用いられた重厚かつ華麗な甲冑で、完成は平安前期に遡ります。最古の現存品は大山祗神社に伝わる沢潟威鎧残欠(国宝)として知られています。
本品も本歌同様に、肩上に首の側面防御用の障子板を備え、胴部は長側(胴本体)と脇楯(壺板)に分かれ、弓を引いた際に胸札に弦が掛からぬよう絵韋を張る「弦走」など、古式の構造を再現しています。さらに大袖・栴檀板・鳩尾板・草摺なども本歌に倣い、鞍上での防御と運動性を兼ね備えた造りとなっています。
現代の複製ながら、細部に至るまで本歌同様の仕様で製作されており、制作には現在でも相当な費用がかかる贅を尽くした作品です。時代の経過により程よく落ち着いた風合いを帯び、右大袖の威糸は日焼けで色浅くなっていますが、わざとらしい時代付けや人工的な装飾感は一切なく、堂々たる威風を漂わせています。そのため、資料的価値はもちろん、床飾りとしても格調高く、古作の雰囲気を忠実に伝える一領です。
※撮影に使用している鎧立および繰締緒は付属しません。写真では赤い総角が付いていますが、現在は威糸と同色の紫色の総角を誂えて装着しております。