備州長(以下切)(末備前) -Bishu Osa(cutted below)(Sue Bizen)- 2-1840
通常価格:¥198,000
税込
刃長66.95センチ 反り1.12センチ
元幅29.6ミリ 元重ね7.0ミリ
物打幅21.1ミリ 物打重ね5.2ミリ
横手位置幅18.9ミリ 松葉先重ね5.4ミリ
裸身重量689グラム
室町後期 The latter period of Muromachi era
昭和45年5月15日 奈良県登録
附属 保存刀剣鑑定書、木はばき(共柄)、白鞘
末備前物と称される室町末期の備前物の中、祐定銘の作刀は多く、中でも与三左衛門尉、源兵衛尉、彦兵衛尉が有名です。刀剣の需要が多く求められた戦国期、備前刀は数多の戦に向けて数多く鍛えられ、そうした実用刀で俗名を銘切っていない末備前物を、数打と卑下する悪習が刀剣界にはありますが、粗製乱造されたわけではなく、俗名を銘切っていない作品の中にも、驚く程出来が良い作品が多々見受けられ、中には俗名個銘極めまで可能な出来優れた作も見られます。
本刀は、磨り上げによって銘の一部こそ失われていますが、元先の幅差が開き、中切先は延びごころ。古雅な風格を湛えつつ、鍛冶の妙技を余すところなく伝える堂々たる体配を示しています。地鉄は杢目鍛えがよく練れ、詰んだ肌合いに細かな地景が入り、乱れ映りが幽玄に立ち上る様は、まさに精美の極みと申せましょう。刃文は明るく冴えた匂口で直刃基調。そこに柔らかな湾れや互ノ目が端然と交じり、刃中には頻りに足・葉が入り、とりわけ逆がかる足・葉が顕著に見て取れます。刃縁には湯走り風・解れ風の働きがあらわれ、細やかな砂流しが掛かる中を金筋が走る様は、観る者の心を惹きつけて離しません。鋩子はやや湾れ込み、先は突き上げ気味に丸く返り、裏は乱れ込んで先丸く返っています。
手元重心で取り回しに優れ、まさに実戦期における「利刀」の本領を示す均整の良さ。古研ぎゆえ、ヒケや指裏小鎬にわずかな錆は見られますが、地刃ともに出来の優れた一口であり、潜む美をさらに引き出す余地がございます。余力ある御方には、ぜひとも佳き研磨を施し、この刀が秘める真の輝きをご堪能いただきたく存じます。