雪持薄図小柄笄 程乗作 光孝(花押) -Teijo Mitsutaka- 16-184
通常価格:¥396,000
税込
小柄 全長97.5ミリ 幅14.4ミリ 重さ47.0グラム(小刀含)
笄 全長212.0センチ 幅12.5ミリ 重さ36.0グラム
江戸時代 The Edo era
附属 桐箱、審査結果通知書
後藤程乗は、慶長八年(1603)二月十九日に後藤家七代目顕乗の嫡男として京都で生まれました。幼名を寅(虎)市、のちに源一郎と称し、光昌・光尹の名も用いました。
元和元年(1615)、十三歳にして理兵衛家の家督を相続し、歴代の通称である「理兵衛」を名乗り、伯父・覚乗の勧めにより加賀前田藩に出仕し、金工としてのみならず政務面でも尽力して加賀後藤家の発展に大きく寄与し、その功績によって藩主前田利常から三十人扶持を賜っています。
寛永十二年(1635)頃、三十代にして後藤家九代目を継承。さらに寛文七年(1667)には江戸幕府第四代将軍・徳川家綱より百俵二十人扶持を拝領し、その後法橋に叙されるなど高い評価を受けました。
作風は人柄を映すように穏健で品格に満ち、後世に残る名品を数多く遺しました。八代目即乗が没した際、嫡子光侶が幼少であったため、程乗が後藤宗家九代目の当主として宗家を支えました。
没年は延宝元年九月十七日(1673年十月二十六日)。
後藤家当主らしい格調の高さが随所にうかがえ、地鉄である赤銅は黒々と深みを帯び、威風を湛えています。細やかに打たれた魚子の上には、薄(すすき)にうっすらと雪が積もる情景が巧緻な彫技によって表され、静謐な美と季節感が見事に調和しています。
なお、本作は日本美術刀剣保存協会による2025年8月審査において「銘に研究の余地あり」として保留となりましたが、今後の研究進展により、特別保存刀装具鑑定書の交付が叶うことを切に期待したい逸品です。