山水図大小鐔(大)長州萩住友久作 (小)友久(大)Choshu Hagi ju 12-1382
通常価格:¥165,000
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長州藩は、他藩へ輸出して藩の財源とするために、積極的に鐔造りを奨励し、その結果、長州は、東の会津に対して西の長州と言われるほど、鐔工とその作品の数が多いところとなりました。
長州鐔の作風は一概に言えないほど多岐に渡っており、特徴的な作風を有する流派はあまりなく、河治・中井・岡本・岡田・金子・中原・藤井・井上・八道といった各家が比較的著名です。
また、長州鐔には山水図が多く経眼されますが、その源は室町時代の画聖雪舟にあり、周防、長門、筑前、豊前、肥前を領有した守護大名大内氏の庇護により明国で水墨画を学んだ雪舟は、帰国後は山口天花の雲谷庵に落ち着き「山水長巻」をはじめとする傑作を描きました。
その画風は、西国随一の大名毛利輝元から雪舟流の復興を命じられた原治兵衛直治(後の雲谷等顔)に継承され雲谷派として幕末まで続きました。
本大小鐔も、長州鐔が得意とした山水図を主題に据えた秀作で、遠景には丸みを帯びた山々が連なり、近景には切り立った崖と流麗な瀧、更に楼閣や水に浮かぶ舟までもが巧みな鏨使いによって表現され、一枚の鉄鐔に広大な景観を凝縮しています。
長州鐔特有の鋭くも繊細な鏨捌きにより、自然と人の営みが巧みに融合した景趣は、まるで山水画を手に取るかのような趣きを醸し出しています。大小揃いで伝来する点も貴重であり、保存状態も良好です。
静謐さと雄大さを兼ね備えた景観美を味わえる本作は、長州鐔の真価を示す逸品であり、コレクションにお迎え頂くに相応しい一組です。