葡萄図 無銘(平安城象眼)Mumei(Heianjo) 12-1251
通常価格:¥132,000
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平安城象嵌鐔は、室町時代の応仁鐔の技法を継承しており、鉄地の板鐔に真鍮を象嵌して文様を描き出すのが特徴です。応仁鐔が象嵌に真鍮のみを用いるに対して、平安城象嵌鐔は、時代が古い物は真鍮のみを用いていますが、後代に入ると金・銀・素銅・山銅なども併用した作品も見られ、より華やかで変化に富んだ表現へと発展しました。
本作は、真鍮象嵌による葡萄の葉と蔓、そして素銅を用いて表された瑞々しい葡萄の実が印象的な作品です。古来より「葡萄(ぶどう)」は「武道」と音が通じることから、武辺者に大変好まれた吉祥の図柄として知られています。 葡萄の図柄はただ美しいだけでなく、武士の心意気をも映し出す意匠であり、特に栗鼠が添えられる場合は「武道に律す」として一層の吉祥を意味し、武家に愛玩されました。
鉄地に映える象嵌の妙味と、力強さと雅趣を兼ね備えた図柄は、刀装具としても観賞用としても大変魅力ある一枚といえ、質実と華美が同居しており、刀装具趣味を始められる方から熟練の収集家まで、ぜひ手に取っていただきたい魅力ある一枚です。