石橋山合戦図 美道Yoshimichi 12-973
通常価格:¥550,000
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飛田氏。一族に元随がいる。飛田美道行年六十九歳、如水軒美道(花押)と銘する。和漢の人物図を高彫りにした鐔と縁頭が在る。日立国水戸住。江戸後期。
石橋山合戦に敗れた源頼朝が、土肥実平に導かれ土肥郷の洞窟に身を潜め、追手をかわした逸話を題材にした鐔です。
伝承によれば、この際に平家方の梶原景時は頼朝の潜伏を察しながらも見逃し、後に頼朝の家臣となるきっかけを作ったとされます。
この鐔は、地鉄は四分一磨地を用い、滑らかで上品な地肌の上に、洞窟に身を潜める頼朝一行を巧みな彫金技術で描き出しており、落ち着いた中にも華やかさを添えています。
とりわけ注目すべきは、洞窟の中の頼朝たちが動く仕掛けを備えている点です。身を震わせながら平家の追手をやり過ごす頼朝の姿は、歴史的緊迫感を巧みに和らげ、どこかユーモラスに表現されています。
静と動、緊張と滑稽が共存する、他に類を見ない趣向の逸品といえるでしょう。単なる刀装具の枠を超え、歴史と遊び心を融合させた名作。ぜひ動画にて、その仕掛の妙技をご覧いただきたい一枚です。