敦盛熊谷図縁頭 無銘(水戸)Mumei(Mito) 14-117
通常価格:¥330,000
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水戸金工とは、現在の茨城県一帯に活躍した鐔工、金工群を総称したものです。その中に谷田部通寿が元禄十年に生まれ、はじめ軍地功阿弥に師事し、のちに出府して奈良利寿に学んだと旧本に記されています。
この人は水戸彫りの中期における功労者で、その系統は玉川美久一派から海野美盛に至る人々と、玉川吉長から打越一派や篠崎勝國とその同門の保平から一柳友善に及ぶものがあり、多くの逸材を輩出して水戸彫りの興隆につくした功績は大きく良工です。
この縁頭は、四分一地に『平家物語』屋島合戦での平敦盛最期の場面を、卓越した彫金技法によって見事に表した作品です。頭には、扇を掲げて敦盛を呼び止める熊谷直実の姿を、縁には、その呼びかけに振り返る敦盛の瞬間を写実的かつ躍動感あふれる描写で表現しています。物語性と造形美が見事に融合した、まさに逸品と申せましょう。