群馬図 古川元珍(花押)Furukawa umei 14-120
通常価格:¥110,000
税込
元珍は鉾職の吉川氏に学び、独立して古川姓を名乗り、のちに横谷宗珉の門人となって、晩年には聖寿と号しました。
この縁頭は、赤銅地に丁寧な魚子打ちを施し、二頭の馬を精緻に表した趣のある作品です。細かな魚子が全体に深い陰影を与え、赤銅の落ち着いた地肌と相まって、重厚で品のある風貌を作り出しています。馬の彫りは筋骨や動勢を巧みに捉え、躍動感ある姿が彫金技術の確かさを物語ります。
一方で日本美術刀剣保存協会の審査においては、銘は認められつつも「縁と頭の取り合わせに研究の余地あり」として保留となっています。仔細に観察すると、縁と頭で鬣(たてがみ)の鏨遣い・彫り表現に差異が見られ、この点が取り合わせへの疑義を招いたものと考えられます。これは同一作者による一揃えでない可能性、あるいは後補・組合せの可能性を示唆する所見となります。